ジャンクなカリフォルニアハウス

ジャンクなカリフォルニアハウス

概要

建築場所 鳥取県米子市
竣工 2025年1月
施工 有限会社 荒石建材・廣富大工

広報担当より

米子市の海辺に建つ、趣味と暮らしを楽しむ平屋住宅

米子市の海にほど近いエリアに完成した平屋住宅。その名前は「ジャンクなカリフォルニアハウス」。
まずこの家の前に立って印象的なのは、大きなソテツの存在と、家にしっくりと馴染んだアメリカ車。建築と景観が自然に溶け合い、違和感がまったくありません。

「カリフォルニアハウス」とは直訳すれば「カリフォルニアの家」。実際にアメリカ西海岸にありそうな雰囲気ですが、それは単なるイメージではなく、住宅デザインのスタイルとして確立された「California Style House」の要素を取り入れた建築です。

このスタイルは、カリフォルニアの温暖で乾燥した気候に適応した“屋内外をシームレスにつなぐ住宅デザイン”を特徴とし、平屋建て、低勾配の屋根、大きな軒の出といった要素を備えています。今回の「ジャンクなカリフォルニアハウス」も、それをベースにしつつ、独自の工夫が詰め込まれています。

とはいえ「ジャンク」とは言っても、その外観はまったくチープには見えません。むしろ洗練されていて、クールで高級感すら漂います。この「ジャンク」という言葉の意味は、素材の選定にあります。外装には鉄板の波板やコンクリート打ちっぱなし、未塗装の素地など、一般的には住宅に使われにくい、小屋などに使われる素材が用いられているのです。

しかし、こうした素材をあえて使うことで、経年変化を楽しみ、メンテナンスの手間を減らし、環境負荷を抑える——そんな今どきの「サステナブルな住宅デザイン」の流れにも通じています。つまり、「ジャンク」はむしろ“今の時代の本流”なのです。

小屋のようで、家のようで、趣味の拠点でもある

玄関から室内に入ると、まず目に飛び込んでくるのは小屋のような屋根のある外部空間。その先に、アンティークをテーマにしたクールな室内空間が広がっています。特徴的な青い扉で、自然の風を取り込み、開放感にあふれた暮らしが実現されています。

もともとカリフォルニアスタイルの住宅では、大きな軒が夏の強い日差しを遮る設計になっており、この住宅でも同様の効果が発揮されます。近年、山陰地域でも夏の暑さが厳しくなっていますが、三面開放と大きな軒によって、快適な室温を保つ工夫がされています。

ここは、クライアント様の自由な趣味空間としても活用されています。車いじり、DIY、仲間とのバーベキュー、そして夜には好きな音楽を聴きながらくつろぐ——そんなライフスタイルを支える空間です。

「小屋に住む」と聞くとネガティブに感じるかもしれませんが、趣味をたくさん持つ“趣味人”にとって、これ以上ない理想の形がこの「カリフォルニアハウス」なのです。

寒い山陰の冬も、しっかり対応 猫と暮らす、優しい住宅

カリフォルニアのような温暖な地域の住宅が、寒さの厳しい山陰に合うのか?という疑問が湧くかもしれません。しかし、その点もきちんと配慮されています。

このジャンクなカリフォルニアハウスには、住居部分と半屋外空間(小屋的空間)がありますが、住居部分には断熱・防音性能がしっかりと確保されています。中央のガラス扉を閉じれば、暖かい空気を逃がすことなく、寒い冬でも快適に過ごせるよう設計されています。

もうひとつ、この家には裏テーマがあります。それは「猫と一緒に快適に暮らす家」。室内にはキャットウォークが張り巡らされ、猫が高い場所を歩き、外を眺められるようになっています。猫好きのクライアント様にとっても、猫にとっても、心地よい空間になりました。

「無理」だと思われたからこそ、挑戦した価値がある

実はこのプロジェクト、最初は予算の兼ね合いから、一度は建築家がお断りせざるを得なかった物件でした。しかし、クライアント様の熱意と行動力、豊かなアイデア、そして丁寧なコミュニケーションによって、一緒にチームとなって最適解を探し、ついに完成に至りました。

チームスタジオアーキテクツの強みは、建築家だけでなく、クライアント様や施工業者様といった全員がひとつの“チーム”として動けること。今回の「ジャンクなカリフォルニアハウス」でも、素材選びから空間の使い方、YouTubeでの取材協力に至るまで、クライアント様の柔軟な姿勢に多くを助けられました。

この場をお借りしてクライアント様へ深く感謝申し上げます。

家づくりの始まりはいつも大変ですが、完成が近づくにつれ、終わりが少し寂しくなる。それは、この建築が「ただの建物」ではなく、ひとつのストーリーだったからかもしれませんね。

(広報担当 N)

YouTubeでの建築紹介、今回よりスタートしました!

今回、クライアント様のご厚意とご協力により、初めてYouTubeでの建築紹介をスタートすることができました。改めまして、心より感謝申し上げます。

紹介する建築は、私たちが全力で取り組んだ「ジャンクなカリフォルニアハウス」。その魅力を、動画でじっくりとお伝えしています。