K邸

K邸

この建物は閑静な住宅地に建つ、新婚夫婦の為の住宅である。

敷地前面(東面)には線路、敷地裏面(西面)には公園があり、公園側は今後建物が建つ心配がない為、公園も敷地の一部として視覚的な広がりを感じられるように・・・、そして線路側からの騒音を抑える計画とした。

敷地東面(約20m先)の線路は、早朝~深夜まで通常の電車の他、貨物列車等も通過する。騒音対策の為、東面外観の開口部の位置及びサイズを必要最小限とし、その他にペアガラス、断熱材(厚さ・素材を考慮)を採用することにより、東側からの騒音の進入を抑えることを考え、更に、間取りの配置を考慮した。

東西を突き抜ける玄関ホールは、全て土間となっており玄関という存在を曖昧なものとし、玄関としての役割の他、居住スペース(LDK)と、クローク・水廻り(トイレ・浴室)とを分離する為の空間とした。開口部を閉めると、それぞれのプライバシーを高める。そして天気の良い日には、それぞれの開口部を開口すると玄関ホール+LDK+デッキの大空間として繋がり、また一味違った空間に成る。昔からの田プランの様に変化する間取りを目指した。(LDK外周のL字型デッキへとも繋がる)

更に、玄関ホール(土間)→バスデッキ→公園へと視覚的な広がりを持つと共に、家全体へと風が流れ、風の抜け道としての役割を持たせた。

1階の中心となるLDKの外周にはL字型に外部デッキを繋ぎ、南及び公園側への視覚的な広がりを与えた。そして、深い庇を通してやわらかい光がLDKに入り込む様に。更に、雨の多い山陰でも外部へと出易い環境をつくることを意識した。

線路側(東側)には騒音・プライバシーの関係で必要最小限の開口部しか設けていない為、LDKへの採光は主に南から西側にかけての光を室内に取り入れている。公園側(西側)の先には小高い山があり、夕暮れ時には深い庇と相まって強い西日が直接LDKへ入り込むのを遮っている。(敷地と周囲の関係を考慮した)

1階LDKと同様に、2階フリールームも騒音対策の為東面への開口部は最小限とし、寝室は、ウォークインクローゼット・トイレを介して北西に配置することで考慮した。

(藤原 伸一)

 

概要

建築場所 鳥取県米子市
竣工 2011年
施工 -