米子の減築リフォーム


米子の減築リフォーム

概要

建築場所 鳥取県米子市
竣工 2025年3月
施工 株式会社平田組

広報担当より

時代に合わせて生まれ変わる、和の美しさを宿す住宅

米子市郊外、昔ながらの住宅が多く並ぶ落ち着いたエリアに建つのが「米子の減築リフォーム」と名付けられた住宅です。

この家がまず印象づけるのは、黒を基調としたスタイリッシュで重厚感ある外観。
ひと目で和風住宅とわかる佇まいでありながら、どこかモダンで高級感も感じさせます。
外壁のデザインも相まって、まるで新築のようなさわやかさも漂います。

この家も、米子市の多くの住宅と同じように、正面には大山を望むように配置されています。
風景と建築が自然につながり、日々の暮らしの中で季節の移ろいを感じられる設計です。

外観と室内の統一感、和の落ち着きが貫かれた空間

玄関に足を踏み入れると、その印象はさらに深まります。
床や収納、壁面まで、黒を基調としたトーンで統一され、重厚さと落ち着きが空間全体に広がっています。
外観としっかりリンクしたデザインが、住まい全体に一貫性と品格を与えています。リビングダイニングに進むと、広々とした空間が広がります。
天井の高さと木の質感が美しく調和し、奥には手入れの行き届いた庭が。
さらにその先には大山の姿があり、「家の中にいても自然を感じられる」——そんな贅沢な時間が流れています。

和室からリビングダイニングへ。時代と共に生きる「減築」という選択

もともとこの空間は、大きな和室が設けられていました。
かつては多くの人が一つの和室に集まり、庭や大山を眺めながらゆったりとした時間を過ごしていたことでしょう。しかし、今は少子高齢化が進み、大人数で集まる機会は減っています。
クライアント様の暮らし方を丁寧にヒアリングした上で、この広い和室を現代的なリビングダイニングへと再構成しました。
昔の「集まる和室」の機能を、今の暮らしにフィットする「広く開かれたリビング」として蘇らせたのです。また、今回のリフォームでは生活動線にも工夫を凝らしました。
お風呂→脱衣室→ウォークインクローゼット→寝室というスムーズな動線は、毎日の生活を快適にし、“目に見えないデザイン”として暮らしを支えています。

なぜ今「減築」が選ばれるのか?
今後、リフォームやリノベーションを取り巻く状況はさらに厳しくなると予測されています。
資材価格の上昇、人件費の高騰、そして法改正への対応……。
新築よりも高額になるケースもある中で、“減築”という選択肢が現実的かつ理にかなった方法として注目されています。
かつては大家族で住むことを前提に建てられていた広すぎる家も、今ではコンパクトに、家族の規模や生活スタイルに合った形に見直す必要があります。そこにこそ、建築家の「再設計力=デザイン力」が問われていると考えています。

チームスタジオアーキテクツでは、目に見えるデザイン(見た目の美しさ)だけでなく、目に見えないデザイン(動線・予算・生活・将来性)も含めた総合的な建築デザインを得意としています。

「チーム」でつくる建築だから気づけることがある

今回のクライアント様は、以前にも私たちと一緒に設計監理を行ったことのある方で、今回が2回目のプロジェクトとなりました。
クライアント様、職人さん、建築家が一つのチームとして信頼関係の中で進めることができたことで、設計段階では気づかなかった「吹き抜けの可能性」にも着目でき、結果として気持ちのいい明るいリビングダイニング空間が実現しました。

この「米子の減築リフォーム」は、建築が個人プレーではなく『チーム』プレーであることを、改めて実感させていただいたプロジェクトとなりました。

(広報担当 N)