パティオのある家




パティオのある家

 

概要

建築場所 鳥取県米子市
竣工 2016年3月
施工 株式会社 先本組

 

広報担当より

1階には窓がなく黒いドアのみ、2階には大きなはめ殺し窓(Fix窓)、少し変わった土地形状に建つ、少し変わった黒ずくめの狭小住宅が「パティオのある家」です。

パティオとは、スペイン語で中庭やテラスを意味する言葉です。
この家は、自動車の駐車スペースを3台分確保するため、建築面積を最小限に抑える必要のあった狭小住宅で、パティオ(中庭)を家の中心に配置した家となっています。

「狭小住宅」+「パティオ(中庭)」と聞くと、多くの人は、居室などの面積が更に小さくなり無駄で、窮屈になるようなイメージがあるかもしれません。
もちろん、この「パティオのある家」の場合、そんなことはありません。
実際に、一歩建物の中(パティオ(中庭)スペース)に入ると、多くの人は予想に反して明るく、広々としていることに驚くことでしょう。
外の黒の印象から一転、パティオと室内は、明るい色調のタイルとリノリウムの床でデザインされており、日中はパティオから取り込まれる光を室内全体へと反射させています。
そのため、家中に優しい自然光が届いています。

通常の狭小住宅においては、複数の問題を抱えている場合も多くあります。
その問題とは、住宅密集地の狭小住宅にはよくある問題としての「暗くなる」ということや、居室などをたくさん配置すればするほど「せまく感じる」ということがあるでしょう。

この「パティオのある家」についても、土地形状が隣接する住宅の中に奥まってしまうような特異な形状であったため、同じような問題を抱えていました。
このような場合には、一般的な家の間取りではどうしても暗くなってしまいがちです。
たとえ前面道路に向けて、大きな開口(窓)をとったとしても、プライバシーなどの問題から日中カーテンなどを閉めないといけないようになってしまい、その場合は十分に光を取り込むこともできません。
また、前面側からの光を建物の反対側奥まで届けることもできません。

そのような問題を解決するのが、建物の中心に配置された「パティオ(中庭)」です。
この「パティオのある家」のパティオは、全ての部屋を明るくすると同時に、1階全ての部屋をどこからでも家の端までを見渡すことができ、狭さを感じさせないというメリットを持っています。
また、外から視線などのプライバシー、セキュリティなどを確保しながら、どこからでも、外を感じる、家族を感じる、ちょっとした趣味・トレーニング、読書などもできるなど多くのメリットを持っています。

一般的な形状の土地に標準的な仕様・価格で家をつくることは、ハウスメーカーや工務店も得意とすることです。
しかし、特殊な形状など、マイナス要素をプラスに変えるような必要があるときは、建築家に相談することも1つのアイデアです。

この「パティオのある家」についても、多くのマイナスをプラスに変える試みを行っています。
特異な形状の土地でも十分に光を取り込みたい(パティオを配置)、小さな家でも家族の変化に柔軟に対応したい(フリースペースを配置)、小さな家でも収納不足に対応したい(クロークやパントリー、ロフト、壁面全面収納の設置)など、マイナスをプラスに変える多くのアイデアを実際に実現させています。

また、この「パティオのある家」のクライアントは、建築地である米子から遠く離れたところに建築当時住んでおり、建築現場にも頻繁には足を運べないため、工事監理についても不安を持っておられました。
このような不安を解消できるようチームスタジオアーキテクツでは、しっかりとした監理業務も行っています。

この「パティオのある家」は、多くのマイナスをプラスに変えた家なのです。

(広報担当 N)