シスルビー Ⅰ

シスルビー Ⅰ

住戸×4+ギャラリー&共有スペースを持つ集合住宅

建物自体は動かないが、建物の周りにあって日々移り変わっていくもの同士(人々、風、光、樹木、水・・・)の関係を、この建物の構成において位置づけることが建物を豊かにしてくれる。
集合住宅ということで、プライバシーの要素をうまく使えば、日常的に有機的連帯も作り出せる。(有機的連帯とは、個性的な異質の個人が、ある特定の要素によって関係を作り結ばれること。)すなわち、動き、環境の変化、意識の変化などによって生まれる交流であったりする。(人、自然、街・・・)
そういったものを自然と発生させる要素を持った建物になればと思う。
あくまで個人の自立を大切にしながら、集合意識の弱体化している社会の中で、コミュニティー(community)の場として、この集合住宅を提案したいと思う。
よってこの集合住宅においては、人と人、自然と人、街と人・・・。
それぞれを繋いでくれるような建物を目指した。
部分と部分の隙間に内部と外部がはっきりとした区切りのない共有スペースを持ち、全体を構成している。すなわち部分のあり方がそのまま全体のあり方に踏み込んでいて、全体のあり方が部分のあり方に影響を与えている様に・・・。
さらに、この地域(島根)の歴史・特徴を踏まえてこの街に溶け込むように計画した。
来待石・漆喰・鉄・赤松・・・。北山・防風林・庇・・・。(地元の素材を活かす)
上記のキーワードにより各素材を決定し、この地域の特徴である風を考慮し西側の壁(大きな壁に松の陰が浮き上がる)を防風林の様に・・・。
(西側の壁と北西のR壁を立ちあげ、風から守るように各配置を決定した。)
この建物の動線に、それぞれの素材を嵌め込んでいる。人の動きがそれぞれの素材を繋いでいき、今ではあまり使われなくなった伝統的な素材の良さを伝えていく様に・・・。
そして、この建物の重要な入り口は、鍛冶屋に鍛鉄により特注している。
この建物は、それぞれの素材があるように、それぞれの職人の技術が活かされている。
島根(出雲地方)の伝統的な素材+職人の技術により、歴史的な街に現代のニーズに合った建物を溶け込む様に計画した。
この建物が、コミュニティーの場となり意識の変化へと繋がるキッカケになれば・・・と思う。

 

概要

建築場所 島根県出雲市
竣工 2012年4月
施工 ヒロシ株式会社