BISTRO Engi
概要
建築場所 島根県松江市
竣工 2019年2月
設計/監理 株式会社 TEAM STUDIO ARCHITECTS
施工 株式会社 木美デザイン建築社
広報担当より
レストランのような“バル”
松江市内中心部の賑やかなエリアにあるバル(洋風居酒屋)が「BISTRO Engi」です。
そのお店は、“バル”と言われても多くの方がピンとこないかもしれません。
むしろレストランといわれた方が多くの人には納得がいくかもしれません。
一般的に、バルというと、小さな店舗にカウンターがあり、所狭しとお客さんが肩を並べ、ひっきりなしに出入りする、そんな居酒屋的なバルの雰囲気とは多少異なっています。まるで時間をゆっくり過ごすレストランのようです。
そのとおり、この「BISTRO Engi」は、レストラン並みの料理を、レストラン並みの空間で、しかしバル並みに親しみやすいスタッフとともに、バル並みの料金で提供する、いうなれば“レストランのようなバル”なのです。
店内に入るまで続く“店の表情”の変化
一般的なバルの外観はというと、おしゃれでこじんまりとした居酒屋のような感じで、地上階にある場合が多いと思いますが、この「BISTRO Engi」は2階にある空中店舗です。そのため、地上階からは全体像は見えません。
しかし、地上階からもはっきりと何らかのお店があることを感じさせてくれる演出が随所に施されています。
例えば3層構造にデザインされた照明もその1つの演出です。
天井照明と中間照明(ペンダントライト等)が天井と中間層部分を照らし、夜の地上階からでも存在をアピールしています。
また、2階部分まで階段を上がると、間接照明がテラスの足元部分を照らすようにもなっています。
そのような演出が地上階から店内に導く光の道のようなもの作り出しています。
そのような照明の演出も“レストランのようなバル”を感じさせる1つの理由なのです。
店舗立地や時間帯による変化などの周りの環境を意識しながら
既存の建物内にテナントとして出店する今回の「BISTRO Engi」のように、店舗デザインに取り組むにあたっては、まず、その店舗が影響を受ける周りの環境を理解することから始めなければなりません。
チームスタジオアーキテクツでは、店舗の立地や周りの周辺環境など、周りの環境を念入りに調査しました。その結果、1つの問題を発見するに至りました。
それは、「夜に存在が消える」という問題です。
夜になると建物自体が闇に消え、地上階から視認性が悪くなり、店舗自体が目立たなくなるのです。
そのため、前店舗では必要以上に下げすぎていた天井をすべて取り払い、地上階からも視認できるような鮮やかな照明を空間に配し、光の道をデザインしたのでした。
いろいろな「良さ」をバランスさせて
チームスタジオアーキテクツでは、建物の設計に関し「単に形を追うのではなく、まずはそこにある存在理由を探すことから入り、その結果としての形が出来上がる。」という考えの下デザインを行っています。
今回の「BISTRO Engi」に関しても、入居するテナントビルの本来の建築の良さを生かし、また環境やコストなどの課題をも良さに変換できるようにデザインを行いました。
また、これからオーナーが作り上げていかれる「BISTRO Engi」の美味しい料理やスタッフのすばらしい接客などの良さも表現できるような店舗づくりを行いました。
本来そこにあったものの良さとこれから作り上げるものの良さ、それらのいろいろな良さをうまくバランスさせて誕生したのがこの「BISTRO Engi」なのです。
(広報担当 N)